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買収価格の算定の仕方

 買収価格の算定について、実践と学術との両面でTIPを掲載したいと思います。

はじめに

僕は、「500万円以下で企業・事業を手に入れよう」といコンセプトで、ビジネスマッチングの事業展開を進めております。

 問い合わせの中で多いのが、買収価格についてです。実際に企業・事業を買収するには買収金額の合意が必要となるわけで、売り手の提示金額が適正なのかを判断し、買い手として提示する金額との折り合いをつけなければなりません。

 そこで、まずは、企業・事業を買収する選択肢という記事をご覧になったうえで、この記事を見ていただくと、よりスムーズな買収活動につながるのではないかと思います。僕の実例も参考になると思いますので、どうぞご覧ください。

 僕は書籍を少なくとも10冊以上、財務データの読み方から、非上場株式の評価の考え方を読み漁り、さらには、証券アナリスト試験の勉強もして、金融理論を身に着けて、買収に臨みました。多くの売り手さんが僕よりも多くの経験をしてきている方々でしたので、理論をバックボーンに身に着けたうえで買収を行ってきました。ですので、その部分も交えて紹介していきたいと思います。

1.ベースとなる考え方(証券理論)

 上場企業の株式を買うのと同じ考え方(後述しますが、当然違うファクターもありますが、簡素化した説明上)で対象となる企業の価値を考えてみます。例として、だれでも知っている「トヨタ自動車(7203)」を挙げてみます。

Yahooファイナンスから抜粋

 誰でもアクセスできるヤフーファイナンスから抜粋しております。注目する数字は、PER(会社予想) 連26.41倍、PBR(実績)連0.93倍の2つの指標です。

 PERとはPrice Earnings Ratioの略で、株価が1株当たり純利益の何倍かを示します。PERが高ければ利益に対して高い株価で取引されていることになります。株価が割高か割安かを判断する目安です。計算式は下の通りです。なお、「連」は連結(子会社・関連会社も含めた利益)を意味します。トヨタ自動車は多くの関連会社を持っていますので、子会社などの利益の影響も受けることになります。

 PBRとはPrice Book-value Ratioの略で、株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているかを示します。現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して割高か割安かを判断する目安です。当然、PBRが低いほど、仮に解散したときに株主に還元される金額が株価に対して多いということです。

 トヨタ自動車の1株に投資をして、仮に現在の収益でビジネスが継続するとなると、投資の回収は単純26年間(PER)かかるということです。しかし、この考え方にはいくつもの前提条件がありますのが、話を簡素化するうえであえて無視いたします。また、仮に今トヨタ自動車が事業をやめて、解散するとPBRが0.93倍ですので、投資した金額以上に還元されるということになります。

2.500万円で買う企業に当てはめてみましょう

 今までの例はあくまでもトヨタ自動車という上場企業の株価をもとに価値を考えたわけです。では、当社が取り扱う、ないしは、皆様がターゲットとする企業は、非上場企業であり、加えて、零細企業となりますので、この理論が当てはめらないし、定量的なデータがなかなか入手できないわけです。また、トヨタ自動車の株式の発行株式数や時価総額(発行株式数×1株の株価)を見ると、なんと22兆円の時価総額、発行数は3兆株となっております。トヨタ自動車の100%の株式を購入して経営権を握ることは到底無理な話で、多くても数千株といったところでしょう。つまり、500万円で買える企業は100%の株式を手にすることができて、経営権も自分の思うままに手にすることができるといった違いがあります。

 一方で、小さな企業の株ですから上場していないので市場を通して取引ができませんので、換金がすぐにできません。これを流動性といいうます。換金するには、今度は買収した企業を買い取る方を探さなければなりません。つまりは、今回の買収する立場が逆転しなければならないわけです。

 こういった違いをベースにするとどうなるか? 流動性があることはプラス、経営権が取得できることはプラス。同じ株価指標を比べてみてもどちらもプラス、マイナスの要素があるということになります。

3.500万円以下の企業の評価のためのデータ

 DDにおいて得られるデータは、上場企業は開示(ディスクローズ)義務がありますので、各種の決算書類を見て財務データを閲覧できます。ですので、簡単にPERやPBRを計算することが可能ですし、自ら計算しなくても上述のヤフーなどのベンダーが計算してくれます。では、500万円以下の零細企業はというと、DDの時に開示を要求するデータの中に直近年度の決算書を見ること、そして、足元の売上データ等を参考に類推をして算出することになります。

 ここで、僕が買収する際にDDで算出した際の財務データを一部抜粋します。まずは、決算期のB/S(貸借対照表)です。株主資本計(株主の資産)=純資産です。BPSを求めるまでもなく、100%の株式を購入する前提で買収する予定でしたので、解散価値としては約8,385,690円あったわけです。つまりは、838万円で購入しても(諸費用は簡易的に無視)損はしないということです。

当社昨年度末決算(バランスシート・資本・負債の部)

続いて、決算期のPL(損益計算書)です。DD時に確認した直近のPLをもとに、チェックしました。売上784万円から売上原価と販売費および一般管理費を引いた、営業利益です。営業利益は約354万円ありました。ここで注意が必要なのは、役員報酬です。180万円ありますので、これは経営者への給与です。100%の株式を保有するわけですので、役員は僕となれば、この給与も会社の利益に足しこめばいいわえです。そうすると、354万円+180万円=534万円の利益となります。本来ならな、ここに減価償却費を足しこむ必要があります。減価償却費とは、固定資産、例えば不動産建物、機械設備などの資産は陳腐化していきますので、一定の耐用年数を仮定して毎年それまで損金扱いしていいですよという税制上のメリットです。これは、営業利益を圧縮(損失)しますので、この数字があれば、役員報酬と同様に足しこんでみてください。会計用語では、これらを役員報酬を足しこんだ*EBITDA(減価償却・税引前利益利益)といいます。

*企業価値評価の指標で、利払い前・税引き前・減価償却前利益(Earnings before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)のこと。簡便には営業利益に減価償却費を加えて計算することになります。

 そうなると、買収金額の目安はPERの観点では534万円、BPSの観点では838万円となるわけです。では、これをもとに買収提示金額を算出することになります。ただし、買収後、経営者が変わるわけで、経営者は社内に蓄積された資金を退職金として受け取りたい(税制上のメリットがあった)という条件があったため、500万円を譲渡前に引き出す予定でした。そうなると、838万円マイナス500万円=383万円が株主純資産となります。非常にシンプルな計算ですが、一応、僕の想定した金額400万円に収まるレベルとなります。ただし、買い手として妙味があるのは、PERのレベルです。534万円を仮に来年度も稼ぎ出せれば、400万円を1年で回収(*税引き前なので法人税がかかることを考慮しなければなりませんが)することができるわけです。

 法人税は、実は、退職金支払い500万円があるので今年度も税引前純損失となる予定でしたので*税制メリットも受けることができる会社であったのです。

 税制メリットは、別の記事を参照ください。

4.実際の他の例で買収金額の目安を計算

当社の500万円で企業・事業を買うマッチング業務同様、他社も下のような情報をイニシャル(初期情報)として提示して、買い手様の募集を募るわけです。当然、仲介会社は事前にDDのための正確な決算資料を把握していますが、守秘義務を結ぶ前の買い手には開示できないため、こういった概算額だけを提示しています。

 具体的にPBRとPERの計算をしてみます。営業利益(純利益と異なりますが、ここでは簡易的に純利益とみなします)は200-500万円です。譲渡方法は事業譲渡(全部または一部)となっています。売り手企業に確認すべき点は、譲渡予定事業の営業利益なのか、会社全体の営業利益なのかです。仮に事業譲渡でなく企業譲渡とみなして計算をしてみますと、年200万円の経営者への手元利益が残ります。減価償却、役員報酬が記載されていませんので、初期段階の質問で役員報酬考慮後のEBITDAを確認することになります。仮に、役員報酬が200万円でしたら、EBITDAは減価償却がなければ400から700万円となります。

 続いて、PBRです。純資産200万円未満とあります。ちなみに、有利子負債(利払のある負債)はDDで確認しておくべき点です。そうなると解散価値は200万円未満ということです。

これらの結果を見ると、資産は少ないが、利益はそこそこ出ている企業とみていいでしょう。そこで、売り主の希望価格は、300から1000万円となっております。つまりは、EBITAをベースにして売却金額を提示していることがわかります。

次に、業種を確認してみます。この業種は、放課後デーサービスを運営している会社です。他の放課後デイサービスが売却データにあれば、比較のため売却金額を参照してみるとよいでしょう。売却対象資産は事業譲渡ですので、設備などがありますが、企業であれば企業の資産すべてとなりますので、あえて記載されることはないです。加えて、従業員の引継ぎもあるようですので、譲渡を受けた後すぐに運営はできるメリットがあります。総じて、購入する際の提示価格は、300から1000万円の間の金額はそう市場からもかけ離れたものではないと思えます。予算がどのレベルかによって交渉が進められますが、売り主が売りを急いでいるのかなどの背景を仲介会社などを通じて確認することで交渉を優位に進められるものと思います。多くの放課後デイサービスが売りに出ていれば、業界自体の規制の変更などの影響を受けている可能性もありますので、そのあたりは自分なりに確認をしてみるといいでしょう。

まとめ

 PERで目安を図ることは一つの参考ですが、投資回収期間をどの程度とみるのか、長期的な視点で競争にさらされないとみるならば、投資回収期間を長めにとって目安金額を算定するのもいいですし、買収する企業の属する業界が厳しい競争環境にあるならば、回収期間を短めに考慮して買収する金額を算定するなど必要となってきます。あくまでも企業・事業買収は投資活動ですので、出口を意識して、回収期間を想定しないといけません。

 ここでの紹介はあくまでも証券理論上の算出した価格です。買い手によってはどうしても欲しい企業であれば、プレミアムを載せることも考えるでしょうし、ブランドある商品などを有する企業であれば、その分のプレミアムを載せることになるでしょう。これらを総じてプレミアム、ないしは暖簾(のれん)と表現します。

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